『ママと娼婦』について

f:id:sn_4824_03ezwebnejp:20190505211120j:image

ユーロスペースでGW中にやってるジャン・ユスターシュ特集。

今日は、大本命ずっと見たかった『ママと娼婦』を見てきました。220分という長さのためインターバル有り。

ロケ地がカフェなどの店内、マリーの家、ヴェロニカの家、車などの密室空間かつほぼ同じだという地獄。動きはタバコを吸う、酒を飲む、レコードを聴くことに限られている地獄。

ここで観客が強制的に注目せざるを得ないひたすらに続く会話会話会話。

220分とゆう長さにする必要性を考えた時にやっぱり主要の人物たちと同じ時間を過ごすことの大切さみたいなことに気付かされた。

『ハッピーアワー』について濱口竜介監督にwebインタビューしてる記事を見たときに、ロッキーであるような登場人物が目に見えて成長するシーンの連なりが大好きだけど、僕にはそれができない、と言っていて。

220分の長さで省略してもいい部分に付き合うことで登場人物と成長と呼べるか分からないけど同じ経験をしてる気持ちがより一層強くなった気がする。

会話に常に耳を傾けてうなづけてるわけじゃないけど、それもまたリアルである。「出たよ、こいつの偏屈な話〜」みたいなやつ!

ラストカットがジャン=ピエールレオのぐったりした顔で終わったのですが、見ている私たちも正直そんなふうになっていました。

 

幾度となくカフェの会話シーンがほぼ切り返しなのだけど、中盤であるアレクサンドルとヴェロニカの会話だけが撮り方が違うくて、全部オンの切り返し正面でそこがもの凄くキョーレツだった。かなりの長ゼリフを言わされるレオーに微かな反応、すこし涙を見せるフランソワーズ・ルブラン。

徐々にアレクサンドル、ヴェロニカ、マリーの三角関係の微妙な気持ちの傾き加減が変わってくことの傾斜具合が絶妙で、やっぱり220分の尺でしか出来なかったことなんだろうと思う。

 

今回のユーロスペースユスターシュ特集、明日行けば全制覇なんだけどご褒美(?)に今回出版された須藤健太郎さんが書いたユスターシュ評伝を買おうと思ってる。